
前回の記事『しゅうちゃんのカット 前編』の続きです。
上の写真のように、スッキリとカット出来たしゅうちゃん。
今回のアプローチ方法の説明の前に…
前回の最後に書いていた
「ぼんやりしていたモノにピントが合ってきました」の話を少しします。
僕は、スマイルカットをはじめてから、たくさんの保護者さんや福祉関係者、先生とつながるようになりました。
保護者さんには、基本その子の特徴などを聞きます。
福祉関係者や先生で、発達障がいに詳しそうな人には、いろいろ質問します。
でも、あいぽんと言う保護者さんは、ABAにやたら詳しかった。
高校の後輩と言うこともあり、僕はあいぽんといろいろ質問や意見交換をしてきました。
彼女は、ABAについてかなり勉強しているようです。
以前、あいぽんに「好子に使うお菓子を買っといて」とお願いした時、彼女のお菓子の買い方からヒントを得ました。
僕は、「チョコとラムネとバナナ」をお願いしました。
でも、あいぽんはそれ以外にもいろんな種類のお菓子を買って来てくれました。
すべて、一口サイズのお菓子を数種類。
チョコが好きだからって、チョコばかり与えたら飽きてくる。
だから、いろんな種類を持っていき、食べ過ぎないように小さな一口サイズ。
実際、子どもの反応を見ていると、好子は数種類用意しとく方が良いと思う。
前回、じゃがりこが好子になっていた子でも時が経つにつれ
「そんなご褒美じゃ、動かないよ」ってな感じになることがある。
「好子にならない好子は、ただのじゃがりこ」
あいぽんから、好子について学びました。
次に、今担当している20代前半の男の子の話。
体つきもガッチリしていて、なかなかじっと座ってくれなかった。
カットしようにも、すぐに立ち上がり、自分の部屋に入りベッドに潜り込む。
大きいから力も強いので、静止できない。
お母さんから、彼はマクドナルドが好きだと聞く。
そして、「カット終わったら食べようね」とハンバーガー等を買って隠しているそうだ。
(見つけたら、彼がすぐに食べてしまうため隠している)
僕は、お母さんにチキンナゲットだけをもらい、彼の部屋に持っていった。
部屋の電気をつけて、布団をめくり、ナゲットをみせた。
「ナゲット食べる?」
「おー」
彼の目の色が変わった。
もちろん、すぐにナゲットをあげたりしない。
「あっちの部屋で、チョキチョキしたらナゲットあげるよ」
彼は、一目散にカットの部屋に移動する。
大切なのは、好子の与えるタイミング。
なんでもかんでも好きなものをすぐに与えるのは、障がいの有無に関わらずよくない。
スモールステップで少しずつ小分けにあげるのも良いが、ナゲットは5個入りだ。
そんな頻繁にはあげられない。
そこで、彼のクセに気がついた。
彼は、我慢の限界に近づいたら、指をコチョコチョ動かすのだ。
そして、立ち上がる。
立ち上がったタイミングでは、ナゲットはあげない。
「座りなさい」と彼を諭す。
座ったタイミングでナゲットを渡す。
次からは、指をコチョコチョ動かしたらナゲットを渡す。
彼がナゲットを手に取り、口に持っていき、美味しそうにほおばる。
食べ終わってしばらくして指がコチョコチョ動くまで、およそ2分くらいだった。
ナゲット5個で、10分座れる。
実際は、15分くらい頑張って座ってもらえたと思う。
僕は、彼との関わりから好子のタイミングの大切さを学んだ。
そして、先日お会いしたABAのエキスパート本田氏。
本田氏から「ABC理論」(ネーミング違うかも…)を教わり、いろんなケースを学ぶ。
酒の席だったが、僕も必死で質問した。
パソコンを持っていき、カット出来なくて悩んでいる子どもの動画を見てもらう。
「感覚過敏がネックだ。」とずっと思っていた。
本田氏は、「これ、感覚過敏が原因ではないよ」
バッサリだった。
見る目線が違った。
もちろん、これについていっぱいアドバイスをもらったが、ここでは書けない。
それよりも、「感覚過敏」と決めつけてた自分の幅の狭さを感じた。
なんでも過敏等の障がいのせいにするのじゃなく、子ども一人一人の心の部分に触れないといけないと、本田氏から学んだ。
さてさて、これだけの前置きを書いてからの本題。
今回のしゅうちゃんのカットが上手くできた要因は、複数あると思います。
まず、『前回よりも落ち着いた環境であったこと』
数日前から、カットすると言うことをご両親がしゅうちゃんに伝えていたこと。
その時「アカマツさん、髪の毛ちゃいろー」とつぶやいていたそうです。
そして、僕が訪問した時、ニヤーと微笑みハイタッチをしてくれた。
しゅうちゃんからのウェルカムメッセージでした。
次に『好子の種類』
いつも「じゃがりこ」を買って行くけど、今回「ジャガビー」を買って行く。
その他、いろいろなお菓子を持って行く。
もちろん、しゅうちゃん家に「じゃがりこ」があるだろうと予想して違うのを買って行ったのだけど。
そして、ジャガビー以外のお菓子は、まだしゅうちゃんに見せていない。
お母さんの食いつきが非常に良かった。
「これ高くておいしい方やで!」
しゅうちゃんも、「ください、ください」と連呼している。
ここで、『好子のあげるタイミング』
なかなかカットに入れないしゅうちゃん。
前髪だけは、カットを許してくれる。
でも、いつまでも前髪をちょっと切ってジャガビーをあげる訳にはいかない。
お父さんが20かぞえてくれる。
「20かぞえたら、ジャガビーあげるよ」
しゅうちゃんは、20秒間は髪を切ることを許してくれた。
「20秒間、髪を触られるのを我慢したら、ジャガビーが食べられる」
まさに『好子出現による強化』です。
20秒ごとに好子がもらえる。
後半、少ししゅうちゃんがソワソワしだした。
ここで僕はカバンからチョコレートの箱を出して、しゅうちゃんに見せた。
「チョコください」
しゅうちゃんが良い反応した。
よし
僕は、好子をチョコに切り替えて、我慢できる時間を延長させることに成功しました。
文字にしてしまえば、手法だけに聞こえるが、前編でもお話した地主くんの子どもとのスキンシップ法。
身体についた髪をそっと払いのけたり、常に子どもが心地よく過ごせる方法を考えて、僕たちが動かないといけません。
これが前提にあっての手法でないといけませんね。
結果、しゅうちゃんは、最後までしっかりカットが出来たのでした。
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